【連載第5回(全6回)】勘と経験に頼らないネットワーク運用へ。Routing Directorの「Active Assurance」が実現する、能動的なネットワーク品質保証

エンジニアblog

前回は Trust 機能によるネットワークの信頼性の担保について解説しました。
今回は、ネットワークの品質を確保するうえで非常に重要な「品質保証」をテーマに取り上げます。

ネットワーク運用における究極の目標の一つである「サービス品質の保証」に直結する Active Assurance 機能は、単にネットワークを監視するだけではありません。
実際にサービスが期待通りに動作しているかを能動的に検証することで、SLA(サービスレベル合意)の確実な達成を支援する、画期的なアプローチを提供します。

従来のネットワーク監視の特徴

すでに多くの企業がSNMPやSyslog、Ping、Telemetryを使った監視ダッシュボードでのネットワーク可視化を行っています。これはネットワーク運用において基本かつ重要な取り組みです。しかし、これらの監視には共通した特徴と監視の限界があります。

  • デバイス中心の監視: インターフェースの帯域利用率、パケット数など、個々のデバイスの状態を監視する。
  • 閾値ベースのアラート: 定義された閾値を超えた場合にアラートを発する。

従来の監視は個々のデバイスやインタフェースが正常に動作していることがわかっていても「SLA通りに動いているか」を判断することが難しいです。

サービスとしてエンドツーエンドでスムーズに提供されているかは分かりません。Web会議の映像が途切れる、基幹システムの反応が遅いといった問題が発生しても、デバイス監視だけでは原因特定が困難というのが実状です。

Active Assuranceとは?

Active Assuranceは、ネットワーク上で仮想的なユーザーやアプリケーションの振る舞いをシミュレートし、そのパフォーマンスを継続的に測定・検証することで、サービス品質をエンドツーエンドで保証するソリューションです。
従来のように「問題が起きるのを待つ」のではなく、問題が起きていないかを確認し続けるのが特徴です。

  • サービス中心の検証: ユーザーが利用するサービス(VoIP、ビデオ会議、特定アプリケーションなど)の視点から、エンドツーエンドの品質を継続的にテストします。
  • テストトラフィックの生成: 実際のユーザー通信を模擬したテストトラフィックをネットワーク上に流すことで、遅延・ジッター・パケットロスなどのサービス品質を測定します。これにより、定義されたSLAを基準として、サービスが品質要件を継続的に満たしているかを検証します。

Active Assuranceは「ネットワークは動いているが、利用者が不満を感じている」という事態を防ぎ、「ネットワークは常に最適なサービス品質を提供している」という状態を保証することで、さらに一段階上の品質保証を提供するための機能です。

1. エンドツーエンドのサービスパス検証

ネットワークの監視は特定のサービスがどの経路を通っているかを把握し、その経路全体の品質を保証することは非常に重要です。

  • パスの可視化と品質測定: 特定のアプリケーション(HTTPS/DNSなど)やユーザーセッションが通るネットワークパスを視覚的に表示し、そのパス上の遅延、ジッター、パケットロスなどの品質メトリックをリアルタイムで測定します。
  • VPNの品質監視:VPNインスタンス上でアクティブ監視行うことで顧客ごとのサービスの可用性、サービス品質を計測できます。通信問題が発生した際に通信影響が発生した時間を正確に検知することができます。


    ネットワークのどこでサービス品質のボトルネックが発生しているのかを正確に特定し、迅速な対策を講じることが可能になります。

2. 定期的なサービス品質テストとSLA保証

Active Assuranceは、実際のユーザー通信を模倣した合成トラフィックを生成し、ネットワーク全体にわたって定期的に品質テストを実行します。

  • 継続的な品質保証: 24時間365日、テストを実行し続けることで、常にネットワークのサービス品質がSLAの基準に満たしているのかを評価します。
  • パフォーマンスダッシュボード: サービスごとの品質、SLA達成状況、テスト結果の履歴などを直感的なダッシュボードで可視化します。
  • SLA違反の自動検出: 定義されたSLA(例:遅延は10ms以下、パケットロスは1%以下、ジッタは2ms以下)と比較し、基準を満たさない場合に自動でアラートを発します。これにより、SLA違反を未然に防ぐ、または早期に発見し対処できます。
  • 多様なテストシナリオ: 音声(VoIP)、ビデオ(Web会議)、データ転送、特定のアプリケーションのパフォーマンスをシミュレートするテストを定義できます。

テストシナリオ例




多様なプロトコルに対応しており、様々な視点での継続的な試験ができます。

3. PathTrace機能

Active Assurance の PathTrace 機能は、指定した送信元から宛先までの通信が、ネットワーク上で実際にどの経路を通過しているのかを可視化する機能です。
テストパケットが記録した情報に基づき、通信パスをトポロジ上で直感的に確認できるため、トラブルシューティングを迅速かつ正確に行えます。

  • 実通信に基づく経路可視化:設計上の想定ではなく、実際のルーティングに従ったフォワーディングパスを確認でき、意図しない経路選択を即座に発見できます。また、過去に通過したパスも表示することができるため、遡って通信経路の可視化をすることが可能です。
  • ECMP・冗長構成下でもパスを明確化:ECMP 環境や冗長構成においても、通信が通過する具体的なノード・リンクを可視化し、切り分けを容易にします。

4. Active Assuranceがもたらす価値

Active Assurance機能を活用することで、企業はネットワークの状態を監視するだけでなく、実際のサービス品質を継続的に検証できるようになります。これにより、障害が表面化してから対応する受け身の運用ではなく、品質低下の兆候を早期に捉えて先回りで対処する、より高度な運用が可能になります。

また、遅延・ジッター・パケットロスといった指標をもとに、サービスが SLA を満たしているかを客観的に確認できるため、運用品質の可視化と説明責任の強化にもつながります。さらに、問題発生時には、どの経路・どの区間で品質劣化が起きているのかを把握しやすくなり、復旧までの時間短縮にも貢献します。

このように Active Assurance は、ユーザー体感に直結するサービス品質の維持・向上を支えるとともに、ネットワーク運用の効率化と信頼性向上を実現する機能です。


まとめ

今回は、Juniper Routing Director の「Active Assurance」機能 についてご紹介しました。

Active Assurance は、従来のデバイス中心の監視だけでは把握しにくかったサービス品質を、エンドツーエンドの視点で継続的に検証できる点が大きな特長です。

ネットワークが「動いている」ことを確認するだけでなく、利用者にとって期待どおりの品質で提供できているかを確認できることは、これからの運用においてますます重要になります。

サービス品質の可視化、SLA 達成状況の把握、問題の早期発見と迅速な切り分けを実現する手段として、Active Assurance は有効な選択肢の一つです。

具体的な導入イメージや、実際の管理画面を用いたデモンストレーション、貴社環境でのPoC(概念実証)に関するご要望がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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