Juniper Networks ルーター仮想化機能の紹介と比較
このブログでは、昨今の電力消費量削減やCO2排出量の削減の観点から、いまSDGsの一環としても注目されている「ルーター仮想化」についてご紹介します。
目次
ルーター仮想化とは
物理ルーターの内部でセグメントを分け、仮想的なルーターをソフトウェアで構築する技術です。
仮想ルーターは、単一の物理ルーター内において、複数構築することができます。また、作成した仮想ルーターはそれぞれ、独立のルーターとして動作します。端的にいえば、1つの物理ルーター内で、複数のルーターを構築・稼働させる技術ということになります。
ルーター仮想化が必要な理由
昨今のキャリアサービスにおいては、サービスの開始・停止を踏まえた計画的な投資計画が求められ、すべてをハードウェアレベルで増設・廃棄を前提としてスケールアウト型のシステムを構築することは難しい状況にあります。また、ルーター自体の収容効率、電力効率を踏まえた低コスト設計に焦点を当てることも重要な観点となっています。
最近では冒頭のとおり、SDGsの観点からも、機材の台数を抑えて電力消費量削減や、CO2排出量の削減を推進することも重要視されています。
こうしたキャリア需要を背景として、物理ルーターをセグメンテーション化し、効率よく、かつ耐障害性を高める方法として、ルーター仮想化が求められてきました。
Juniper Networksのルーター仮想化機能
Juniper Networksはインターネットの黎明期より、IPルーティング製品における技術・トレンドを15年以上リードしてきました。
Juniper Network製品では、大きく分けて3種類のルーター仮想化機能が用意されています。単一のハードウェア製品の中で初めて仮想化を試みたVirtual Routerを初めとし、本格的に機能・運用性を分離させたLogical System、さらには基盤ルーター仮想化に対する物理からのアプローチとなるNode Slicingへと開発を進めてきました。
それぞれの特徴をご理解の上、用途に応じて適切な機能をご選択ください。
1. Virtual Router(VR)
ルーター仮想化の最も標準的な機能です。
ルーターの物理リソースを論理リソースに分割・仮想化し、仮想ルーターを構築します。単一の物理筐体内で複数の仮想ルーターを稼働させられるため、機器の設置費用や消費電力のコスト削減につながります。
また、新サービスの開始と終了も、物理ルーター内でVRの設定をオンオフするのみで、スピーディーに完了します。
2. Logical System(LSYS)
VRから一歩進んだ機能として、耐障害性の向上を目指してJuniper Networksが独自に開発したルーター仮想化技術です。
VRとの違いとして、LSYSではルーター仮想化の際にルーティングプロセスを複製し、仮想ルーターごとに独自に保持させます。その結果、ひとつの仮想ルーターでプロセス処理の問題が発生しても、他の仮想ルーターに影響を及ぼしません。
また、性能面においてもVRより制約が少なく、豊富な機能が利用できます。
3. Node Slicing
Node Slicingは、仮想ルーターに対するリソースを物理的なラインカード単位で割り当てます。そのため、仮想ルーター間におけるリソース干渉を最小限に抑えることができます。
さらにNode Slicingでは、仮想ルーターごとに独自のルーティングプロセスを保持させるとともに、JUNOSを含めた複製を行います。そのため、仮想ルーターごとに異なるバージョンのOSを稼働させることができます。
おもに、複数サービスを同時に実行する環境での利用や、筐体内でのOSバージョン検証といった用途にも活用できます。
各機能の比較
Virtual Router(VR)、Logical System(LSYS)、Node Slicingの比較は以下の通りです。
それぞれの特徴を抑えながら、用途に見合った機能の選択を進めましょう。
Juniper Networksのルーター仮想化機能を紹介して参りましたが、いかがでしょうか?
詳しい情報はダウンロード資料でご確認いただけます。気になる方はぜひご覧ください。