MX・QFXシリーズ事例 東京大学様
MX480とQFX10002の組み合わせで、基幹ネットワークの100Gbps化を推進。SINET/WIDEとの100Gbps接続を実現しました。
- 企業名東京大学
- 設立1877年
- 所在地東京都文京区本郷
- 取材対象東京大学 情報基盤センター
準教授 博士(政策・メディア) 関谷 勇司 氏(前列・左)
情報システム部 情報基盤課 ネットワークチーム
係長 下田 哲郎 氏(前列・右)
係長 佐山 純一 氏(後列・右)
駒井 優哉 氏(後列・左)
東京大学では、学術ネットワークSINETの更改に合わせて、ジュニパーネットワークス(以下、ジュニパー)の「MX480」「QFX10002」を採用し、基幹ネットワークの100Gbps 化を図りました。双日テックイノベーションのサポートによって、短期間での導入に成功し、安定的な100Gbps 接続を実現しました。
多彩な学術研究を支えるネットワーク
東京大学と情報基盤センターの役割について紹介してください。
当学は、2017年に創立140年を迎えます。2015年には、次の10年をどうすべきか、社会・経済を駆動するための新たな仕組みをどう構築していくかという指針を示す「東京大学ビジョン2020」を掲げ、産学官民の同時改革を駆動する大学としての活動を推進しています。
そうした当学の活動や運営において、ICTは電気や水道に並ぶ重要なインフラに数えられるようになりました。旧来は理化学の教育・研究用途が中心であったものが、すべての教育・研究や業務に活用されるようになったためです。
国内外の教育・研究機関が参加し、数多くの研究や事業が進められる当学において、ICTインフラの整備・運用は非常に重要なミッションの一つです。情報基盤センターは、それらのICTインフラを統括し、適切なICTサービスを提供するために活動しています。
歴史的に私たちは、ICTインフラの構築や運用を自ら手がけることを旨としてきました。そのため、他学に増して優秀なエンジニアをそろえ、優れた技術や製品・サービスを追求する目を養っています。
私たちが運用するシステムの中には、止まることが許されないものも数多く存在しています。基幹ネットワークである「UTNET」の稼働や「SINET」などの外部ネットワークとの接続を安定的に保つことが、私たちネットワークチームの役割です。
SINETの更改に合わせてUTNETの100Gbps化を図る
100Gbpsネットワークの構築に至る背景を教えてください。
「東京大学は他大学や外部機関との
共同研究が多く、膨大なトラフィックを
処理できるタフな機器が求められます」
東京大学 情報システム部
情報基盤課 ネットワークチーム
駒井 優哉 氏
2016年4月、国立情報学研究所のSINETが「SINET5」へと更新され、100Gbpsを中核としたバックボーンネットワークが提供されるようになりました。また、WIDEプロジェクトの「WIDEインターネット」も100Gbps化が進められています。
もともと私たちは、SINETのヘビーユーザーであり、30Gbps(10Gbps×3)の接続を用意していました。ところが、LHC(Large Hadron Collider)実験やHPC(High Performance Computing)分野などの膨大なトラフィックを発生する共同研究が積極的に行われているため、研究用トラフィックだけで30Gbpsを埋めつくす勢いに加え、生活用トラフィックも日常的に4Gbps以上出るので、すでに帯域不足を感じており、増強が必要と認識していました。
また、SINET5で提供されるL2VPNサービスを活用し、茨城県や岐阜県などにある当学の施設をセキュアに接続したいと考えていました。そのため、レイヤー2に対応した機能も必要でした。
こうした背景から、UTNETの中核を担う機器を更新して、100Gbpsに対応した基幹ネットワーク「UTNET4」を構築することになりました。その第一段階として、SINET5およびとWIDEとの対外接続の100Gbps化を実施しました。
多様なトラフィックを処理できるタフなネットワーク機器
コアとなる機材にMX480やQFX10002を選択した理由を教えてください。
「ジュニパーは100Gbpsの領域で豊富な
実績を持ち、高性能な製品と先進的な
技術に注目しています」
東京大学 情報基盤センター
准教授 博士(政策・メディア)
関谷 勇司 氏
更新を検討しはじめた当初は、100Gbpsインターフェースを持った製品は数社に限られていました。その中でも、実績が豊富で信頼できる機器・ベンダーを選択したいという思いがありました。また、UTNETの基幹ネットワークにおいて長く利用するため、最低でも5年以上の保守サービスを受けられるというのも条件の一つでした。
私たちのネットワークでは、研究用途の巨大で多様なトラフィックを適切に制御する必要があります。そのため、パフォーマンスよく煩雑なフィルタリングを処理できるタフなネットワーク設備が求められました。
レイヤー3スイッチではなくルーターであるMX480を選択し、外部接続用にQFX10002を導入したのも、そうした理由によるものです。
ジュニパー製品を選定したもう一つの理由は、MX480の内部で論理(仮想)ルーターを構成できる点にあります。この技術は、SINET3のころから注目しており ましたが、従来 研究プロジェクト専用のルーターを 別筐体で運用していました。しかし、筐体の制限で最大10Gbpsしか利用できず、増強を強く求められていました。今後、研究プロジェクトごとに必要なルーターリソースを柔軟に割り当て、ストレスなく研究を行うためにも、論理ルーター機能はぜひ導入したかったのです。
「Junos OSは管理者の味方。
トラブルを軽減する優れたインター
フェースに助けられています」
東京大学 情報システム部
情報基盤課 ネットワークチーム
係長 佐山 純一 氏
またMX480は、無停止でファームウエアをアップデートできるなど、運用面でも優れているのが気に入りました。筐体(きょうたい)がコンパクトで、ラックの占有率が低いのもよいところですね。
「Junos OS」については、以前に別の用途でQFX5100を導入し、運用ノウハウを蓄積していました。当初こそとまどいましたが、慣れてくると使いやすく、コンフィグの世代管理は複数のスタッフで管理する環境には最適です。特にコミット制がお気に入りです。設定ミスなどのトラブルを回避できるのは、私たちにとって非常に重要な機能です。
重要なネットワークを支える信頼できるパートナー
導入ベンダーとして双日テックイノベーションを選んだポイントはどこにありますか。
双日テックイノベーションの迅速かつ的確なサポート
があるからこそ、安心してネット
ワークを運用することができます」
東京大学 情報システム部
情報基盤課 ネットワークチーム
係長 下田 哲郎 氏
UTNETは、業務や多数の教育・研究を支える極めて重要なネットワークインフラです。その中核を担うネットワーク機器は、障害で長時間停止することが許されません。
従来は、予備のネットワーク機器を準備しておき、万が一障害が発生したときにはすぐに交換できる体制を整えていました。しかし、新しいUTNETは運用コストの削減も求められており、予備機を用意するほどの余裕はありません。。そのため、手厚く迅速なサポートを提供してくれるパートナーが必要でした。
双日テックイノベーションは、さまざまなジュニパー製品を取り扱っており、導入実績も豊富です。特にSINETでの導入・運用サポート実績が9年以上継続していることに、知識と技術力を頼れる安心感があります。
特に今回は、当学の事情で移行期間が極めて短いという課題がありましたが、双日テックイノベーションの手厚く迅速なサポートを受けて、遅延なくプロジェクトを遂行できました。さまざまなオンサイト作業をワンストップで解決していただいたので助かりました。既存のネットワーク機器のコンフィグを"翻訳"する作業においては、正確に書き換えて、トラブルなく作業を進めていただいたのが印象的でした。
全学的な100Gbps化に向けて双日テックイノベーションのサポートに期待
MX480とQFX10002の運用状況はいかがでしょうか。
2016年3月に稼働して以来、問題なく稼働しています。パフォーマンスも十分に発揮しており、高速なネットワークを活用できています。すでに特定の研究用途に対して仮想ルーターの割り当てを行って、ネットワークを論理的に分離・運用しています。
日々の運用で感じるのは、Junos OSの効果によって、人的なトラブルを回避できるようになったことです。管理者に優しいインターフェースが使いやすく、事故対応も減り、運用負荷が軽減したように感じます。
将来的な計画と双日テックイノベーションに期待していることを教えてください。
現在のところ、SINET5およびWIDEとの対外接続はすべて100Gbps化することができました。将来的には、UTNET全体を100Gbps化し、さまざまな要求に応えることのできるネットワークを作り上げたいと考えています。
将来的には、私たちが驚くようなネットワーク技術が登場してくることでしょう。ジュニパーも先端技術を積極的に取り入れ、製品化を行っていくと思われます。
双日テックイノベーションには、これまでと同じように手厚いサポートの継続、最新の情報を的確かつ迅速に提供し、先進的な提案を行ってくださることを期待しています。
※記載の担当部署は、2016年4月の組織名です。