MXシリーズ事例 株式会社IDCフロンティア様

総容量1,000Gbpsを目指して MX シリーズを導入。
クラウド時代のバックボーンネットワークを増強すると同時に、運用負荷も軽減しました。

  • 企業名株式会社IDCフロンティア
  • 設立2009年2月
  • 所在地東京都新宿区四谷4-29
  • 事業概要クラウドコンピューティング事業 、データセンター事業
  • 取材対象株式会社IDC フロンティア
    カスタマーサービス本部 プラットフォームエンジニアリング部 部長 梅田 聡 氏(中央)
    カスタマーサービス本部 プラットフォームエンジニアリング部 ネットワークグループ ソリューションアーキテクト 三浦 尊 氏(左)
    技術開発本部 UX開発部 アーキテクトグループ 井上 一清 氏(右)

株式会社IDCフロンティア(以下、IDCフロンティア)では、バックボーンネットワークを増強するため、初めて100Gbpsラインカードを導入。ジュニパーネットワークス(以下、ジュニパー)3Dユニバーサル・エッジルーター MXシリーズが採用された。その経緯とねらいについて伺った。

インフラ事業者として積極的に強化を続けるIDCフロンティア

IDCフロンティアの事業概要について教えてください。

Yahoo! JAPANグループの戦略ITインフラ事業者として、クラウド・データセンター事業やデータ分析プラットフォームなどのサービスを提供しています。

これまではデータセンター事業を中心にビジネスを展開してきましたが、近年はそのインフラをベースにクラウド事業の拡大を進めています。2014年には、シンプル&パワフルをコンセプトに、1時間1円、1ヵ月500円のワンコインから利用できる「IDCFクラウド」をリリースし、お客様の数が拡大しています。

さらに、データ分析プラットフォームも新たに展開しており、クラウドでデータを処理するだけでなく、データも集積する「データ集積地」となるべく、ビジネスモデルの変革を進めています。

また、インフラ事業者としてネットワークを継続的に強化しています。2016年 4月時点において、データセンター事業者として国内最大級の890Gbpsの高速大容量バックボーンネットワークを自社で運営しており、容量は10年前と比較して約10倍に拡大しました。今後は、1,000Gbpsを目指してさらに拡大を図っていく予定です。

2枚の100Gbps拡張カードを搭載したMXシリーズを導入

MXシリーズを導入した目的を教えてください。

「実績・信頼のあるMXシリーズをコアルーターに採用することで、ユーザーに十分なネットワーク帯域を提供できるようになりました。」株式会社IDCフロンティア 梅田 聡 氏

福島県白河市で運営するメガデータセンターのバックボーンネットワークを増強するために、新たにMXシリーズを導入しました。

近年、インターネット関連サービス事業者が提供するコンテンツはリッチ化が進み、その運用基盤となるデータセンターには、大量のデータをより高速に処理をして、より高いレスポンスで配信する能力が求められるようになりました。一方で、白河データセンターには既存のコアルーターがありましたが、性能面で限界が見えており、新設して処理能力を増強するというねらいがありました。

また、先述のとおり、IDCフロンティアではITインフラ事業者として継続的にネットワークインフラを増強しています。今回の取り組みは、その一環でもあります。

バックボーンネットワークの運用に最適化されているMXシリーズを選択

MXシリーズを選んだ理由を教えてください。

「100Gbpsをサポートできる機種を優先的にコアルーターを選定しました。」株式会社IDCフロンティア 三浦 尊 氏

ネットワークエンジニアとしての経験上、MXシリーズはバックボーンネットワークを支えるルーターとして最良の選択だと考えました。BGPフルルートで稼働させることを目的として設計されており、高いパフォーマンスを安定して発揮することができます。また今回は100Gbpsをサポートできる機種を優先的に選びました。当初は2015年度中に倍の660Gbpsへ増強することを目標としていましたが、MXシリーズによる200Gbpsの確保もあって、890Gbpsという目標以上の大容量を実現することができました。

また、MXシリーズにはJunos® OSが搭載されていることもメリットのひとつでした。特にコアルーターということもありトラブルは許されません。その点、Junos® OSであればコンフィグを入力してもコミットコマンドを入力しなければ設定の反映がされず、作業時に万が一トラブルが発生したとしてもすぐにロールバック機能により世代管理されたコンフィグを読み込むことができます。運用をする上でリスクを低減する非常に優れた機能だと感じています。

100Gbps導入で、より安定したサービスを提供

MXシリーズを導入した効果と評価をお聞かせください。

「予測を超えた急激なトラフィックの増加にも、余裕を持って対応できるようになりました。」株式会社IDCフロンティア 井上 一清 氏

100Gbpsの拡張カードを2 枚搭載できたので、一度に大幅なバックボーンネットワークの増強を図ることができました。IDCフロンティア全体で総容量890Gbpsですので、それと比較すればインパクトの大きさを理解していただけると思います。

これまでは10Gbps単位で帯域を拡張してきましたが、ここ数年のトラフィックの伸びは予測を超えており、従来通りの拡張計画では市場のニーズに十分に応えられるか不安視していました。また、細かな増設を繰り返しているとネットワーク構成も複雑になり、製品導入や運用にかかる負荷も少なくありません。今回、100Gbps単位で増設したことで十分なネットワーク帯域が確保され、都度ネットワーク拡張をするリスクにとらわれることなく、安定した帯域をユーザーに提供することができるようになりました。

日商エレクトロニクスへの評価と期待

日商エレクトロニクスへの評価をお聞かせください。

今までMXシリーズの導入実績や信頼性は十分認知していましたが、100Gbpsラインカードは初めて採用する製品です。グループ会社で活用している実績を見ていたため性能には確証がありましたが、正直、不安もあったのも事実です。その点、日商エレクトロニクスが導入検証や設定の十分なサポートをしてくれたので、とても安心して作業を進めることができました。今回あらためて、日商エレクトロニクスの技術力の高さを実感しました。

他社製品からの移行検証も併せて実施しました。検証にあたり、他社製品を含めた環境を用意していただき、十分なテストを実施することができました。その結果、本番移行時には、まったく問題が発生せずに完遂することができました。

最後に、日商エレクトロニクスへの期待をお聞かせください。

総容量1,000Gbpsのバックボーンネットワークを目指して、今後も設備強化を進めていきますが、単に容量を増やせばいいというわけではなく、運用効率やセキュリティの向上を図りながら進めていかなければなりません。

そのため、日商エレクトロニクスの技術力はもちろん、経験やノウハウは非常に心強いです。今後も期待をしていますので、よろしくお願いいたします。

※記載の担当部署は、2016 年4 月の組織名です。