認証基盤としてクラウドを、SINET4経由で利用しています。12,000人のタブレットユーザーが利用する予定のキャンパスネットワークには、コアスイッチとしてジュニパーのEX8200を採用しました。
- 企業名学校法人千葉工業大学
- 所在地千葉県習志野市津田沼2-17-1(津田沼キャンパス)
- 取材対象学校法人千葉工業大学
情報科学部 情報ネットワーク科
教授 中村 直人 氏(中央)
情報システム課 課長補佐 福山 達也 氏(右)
情報システム課 係長 河村 俊一 氏(左)
創立70周年を迎えた学校法人千葉工業大学(以下、千葉工業大学)では、高速キャンパスネットワークの再構築に伴い、コアスイッチにジュニパーネットワークス(以下、ジュニパー)のキャリアグレード・イーサネットスイッチEX8200(以下、EX8200)を採用した。導入の経緯とねらいについてお話を伺った。
「世界文化に技術で貢献する」千葉工業大学
千葉工業大学についてご紹介ください。
千葉工業大学は、1942年(昭和17年)に旧制大学として創立して以来、創立70周年を迎えました。国内の私立工業大学としては最も長い歴史を持っており、すでに74,000人以上の卒業生を社会に送り出しています。
千葉県習志野市に「津田沼キャンパス」と「新習志野キャンパス」という2つの大規模なキャンパスを有し、学生と教職員を合わせると約12,000人に上ります。
「世界文化に技術で貢献する」を建学の精神とし、グローバル社会で活躍でき、豊かな教養と高度な専門知識、そして国際的視野を身につけた人材の育成を行うため、教育改革、国際化、ICT利用の推進を行い、活力にあふれた大学づくりを進めています。
学習環境の充実と運用負荷の削減を目的にキャンパスネットワークを再構築
今回、再構築した高速キャンパスネットワークの概要について教えてください。
千葉工業大学では、常に新しいICT技術やサービスの利用を推進することで、学習・研究環境の充実を図ってきました。10年前には、情報センターから各研究室にまで光ファイバーを直接引き込むFTTD(Fiber To The Desk)による高速キャンパスネットワークを構築し、サーバーの集中管理とネットワーク機器の構成に縛られないフレキシブルな高速ネットワーク環境を実現しました。
今回、「アクティブラーニングの促進」と「システム運用負荷の軽減」を実現するため、ネットワークインフラを再構築しました。
「アクティブラーニングの促進」とは。
学生参加型の授業スタイルを促進するため、すべての学生と教職員にタブレット端末を貸与することを決定しました。初年度は約2,700名の新入生が対象となりますが、合わせて、学内のどこでもタブレット端末を有効活用できるよう無線LAN環境も整備しました。
「システム運用負荷の軽減」とは。
情報システム課の運用負荷を軽減するため、DNS、DHCP、LDAPADなど、認証基盤に用いる約20台の基幹サーバーをNTT東日本様の「Bizひかりクラウド」環境に移行しました。クラウドサービスへのアクセスは高速性、セキュリティ、コストを考慮しSINET4を採用しています。
ボトルネックとならないよう高速化と信頼性を確保するためコアスイッチを見直し
高速キャンパスネットワークの再構築に合わせて、コアスイッチも刷新したということですが、その理由を教えてください。
「常に新しいICT技術を利用することで、
学習・研究環境の充実を図ってきました。」
学校法人千葉工業大学
中村 直人 氏
構内はFTTD、SINET4とは10Gbpsで接続していますが、3年後には約12,000人がキャンパスネットワークを利用するようになります。そのとき、コアスイッチがボトルネックとならないよう高速化を実現し、信頼性の高いネットワーク環境を実現するため、コアスイッチの見直しを行いました。
スイッチの構成を教えてください。
津田沼キャンパスでは3台のEX8200を接続し、冗長構成としています。ポート数は960ポートになります。新習志野キャンパスでは1台のEX8200を接続し、ポート数は240ポート。キャンパス間は、EX8200で相互接続(10Gbps)しています。
EX8200で信頼性の高い高速ネットワークを実現
EX8200を採用した理由を教えてください。
次の6つの理由からジュニパーのEX8200を採用することにしました。
(1)ノンストップで運用可能なネットワークを構築システムを止めることなくOSのバージョンアップができるNSSU (Nonstop Software Upgrade)や、電源やファンのホットスワップ対応など、ノンストップで運用できるしくみが数多くサポートされているので、信頼性が高く、コアスイッチが原因となるネットワークのダウンタイムを限りなくゼロに近づけることができると考えました。
(2)JunosR OSによる一貫性のある運用が可能
スイッチやファイアウォールなど、ジュニパーのネットワーク機器で統一することで、Junos OSで一貫性のある運用が可能になると考えました。
(3)高密度で機器構成や運用がシンプル
EX8200はシャーシ型で、大量のポートをシンプルな構成で実現できます。機器点数を減らすことで、障害コンポーネントを削減し、運用管理をシンプル化できると考えました。
(4)拡張性が高く、投資効率が高い
EX8200はジュニパーVCに対応しており、複数台のスイッチを接続して単一の論理デバイスとして管理できます。将来的に、トラフィックが増加しても柔軟な拡張が可能なので、長期間使い続けることができ、投資効率が高いと考えました。
(5)ハイパフォーマンスなネットワークを構築可能
スロット当たり最大320Gbps、パケットサイズを問わず9億6000万パケット/秒という高いワイヤレートを実現しているので、ハイパフォーマンスなネットワークインフラストラクチャーを構築できると考えました。
(6)双日テックイノベーションの技術サポートを受けられること
クラウドサービスとキャンパスネットワーク全体を設計・構築・運用しているシステムベンダー(NTT東日本様)からも、EX8200であればコアスイッチとして信頼性が高く、双日テックイノベーションの技術サポートを受けられるので、安心して利用できるとお墨付きをもらいました。
利用者数が数倍になっても、まだ余裕がある
EX8208の導入効果を教えてください。
「クラウドサービスのパフォーマンス
に関して問題はありません。」
学校法人千葉工業大学
福山 達也 氏
クラウドサービスのパフォーマンスに関してはまったく問題はなく、校内にあるのと変わらない状況で利用できています。また、トラフィックも安定しており、遅延やトラブルなどはないので、安心していられます。
確かにまだ利用者数は想定の1/4ですが、現在の感触だと、利用者数が数倍になっても、まだ余裕があると思っています。
また今回、2つのキャンパスとSINET4とでネットワークをトライアングル構成にしましたので、どちらかのキャンパスのネットワークが、電気設備の点検やトラブルなどでキャンパス間のネットワークが使えなくなった場合でも、もう一方のキャンパスは影響を受けずに、インターネットなどの通信が確保される構成になったのは、利用者から喜ばれると思います。
技術力と経験値の高さを実感
導入の際に苦労した点などはありましたか。
「事前の機器検証や代替機の貸し出しなど、柔軟に対応していただき助かりました。」
学校法人千葉工業大学
河村 俊一 氏
現状のシステムから停止期間なく移行せざるを得なく、ベンダーのみなさんには迅速な対応をお願いせざるを得ませんでしたが、双日テックイノベーションをはじめ各ベンダーが協力をして進めてもらえたので、ほぼ予定通りに導入を進めることができました。
その中でも、双日テックイノベーションには、事前の機器検証や代替機の貸し出しなど、柔軟に対応していただきとても助かりました。
今回のプロジェクトを通じて、技術力の高さをあらためて実感するとともに、そのノウハウや経験値の高さには感心させられました。
双日テックイノベーションへの期待
双日テックイノベーションへの期待をお聞かせください。
コアスイッチに関しては、プロジェクトの下調べの段階から双日テックイノベーションには相談に乗ってもらい、とても助かりました。振り返れば、その準備期間があったからこそ、いざというときに迅速な判断ができました。とても感謝しています。
千葉工業大学では、これからキャンパス間接続のVC化などにも取り組んでいく予定ですが、今後、今回のネットワークモデルがこれからの国内の大学のスタンダードモデルになっていくことにも期待しています。ぜひ、双日テックイノベーションにもその後押しをお願いできればと思います。よろしくお願いします。
※記載の担当部署は、2014年3月の組織名です。