2016年に注目したいデータセンター最新トレンド ~ ユーザーファースト時代の必須キーワード~

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膨大な情報が集中するデータセンターは、時代の要請に応え続けられるのか――。クラウドファーストから「ユーザーファーストの時代」とも呼ぶ状況の下、市場競争は激化。データセンターには“スピード”と“流動性”が求められると過去記事でも指摘した通りです。

※参考記事:データセンターに求められる“スピード”と“流動性”…セミナーレポート

このような時代にデータセンターが対応していくためにも、注目したいのが“スピード”と“流動性”を実現すること。そして、それを支えるネットワーク技術です。今回はこのような観点から、2016年のデータセンターを考える上でも、確実に押さえておくべき技術キーワードを解説します、

2016年、データセンターには何が求められるのか?

「ユーザーファースト」から導き出されるキーワード

企業のビジネスにおいて、データセンターが担う役割は大きくなり続けています。今や、数多くのプロジェクトを迅速かつ低コストで立ち上げ、その中からユーザーに受け入れられたサービスを拡大する…ということが頻繁に行われる時代です。

このような背景の下、データセンターには、(1)判断のスピード、(2)実行/実装のスピード、(3)物理的なスピードという3種類の“スピード”と、“流動性”の高いプラットフォームが必要です。

※参考記事:データセンターに求められる“スピード”と“流動性”…セミナーレポート

このような“スピード”と“流動性”を備えるデータセンターに求められるのは、低遅延、スケールアウトしやすいこと、マルチテナント性などが挙げられます。その実現のために押さえておきたい技術キーワードを3つに絞って紹介します。

  1. MPLS
  2. EVPN
  3. VxLAN

MPLS、EVPN、VxLAN――3つのキーワードを解説

(1)MPLS…DC間のネットワークにおける高速切り替えと柔軟な経路選択へ

近年、ネットワークはますます巨大化・複雑化が進んでいます。今後もその傾向は続くと考えられます。こうして巨大かつ複雑化したネットワークからは、多種多様かつ膨大な情報がデータセンターに集中することでしょう。その時の懸念点として挙げられるのが、一部のネットワーク区間における遅延がネットワーク全体の遅延となり、データセンター全体のパフォーマンスが低下することです。これは、ユーザーファーストの時代に、あってはならないことです。

ここで従来のIGPプロトコルを使用したネットワークの課題を見てみましょう。1つは、常に最短コースが選択されるため、トラフィックが一部経路に集中しやすいこと。2つめは、IGPプロトコルの場合、障害発生時に計算が複雑化するため、遅延につながりやすいこと。これは、経路情報のやり取りに利用されているIPヘッダーの問題でもありました。

そこで、従来のIPヘッダーの情報に代わり、短い固定長の情報「ラベル」を利用する技術が解決策となります。これをラベルスイッチング技術「MPLS(Multi Protocol Label Switching)」と呼びます。MPLSでは、転送処理と経路計算が別々に行えるようになり、従来数秒かかった切り替え速度をミリ秒程度にまで高速化。さらに、柔軟な経路選択もできるようになります。

(2)EVPN…次世代の技術で広域イーサネットを実現

これまでもVPWSやVPLSなど、拡張性があり、柔軟、低価格のテクノロジーがありました。しかし、新たな時代のデータセンターにはさらなる柔軟性やデータの流動性が求められるようになりました。例えば仮想マシンの柔軟な移動をサポートする、L3VPNとL2VPNを統合的に提供するなど、さらなる技術革新が求められたのです。

そこで登場した技術が、EVPN(Eternet VPN)です。EVPNは離れた拠点間を、仮想的に1つのレイヤー2スイッチとして構成し、広域イーサネットサービスを実現する技術です。ほかのIP技術とも親和性が高いのが特長で、L3VPNやIGP/EGPを使用したインターネット接続も同時に提供。シンプルで柔軟性の高い広域イーサネット環境の構築を可能にしました。

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(3)VxLAN…IPファブリック上にL2のコネクションを提供

これまで、データセンターのネットワークでは、L 2 は拡張性などには弱みがあるとされてきました。しかし、異なる拠点やセグメント間での仮想マシンの拡張など、ユーザーファーストの観点から柔軟性が求められるようになりました。

そこで生まれた新たな技術が、VxLAN(Virtual eXtensible Local Area Network)です。L3ネットワーク上にL2のネットワークを延伸できることから、データセンターに求められるマルチテナント環境の実現するために欠かせない技術の1つとなりました。

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ユースケース…3つの例で見る、新たなデータセンターのかたち

注目技術はデータセンターにどのように取り入れられているのか?

前章で紹介した3つのキーワードは、どのようにデータセンターに取り入れられているのでしょうか。この章では、具体例を通じてご紹介します。

(1)株式会社mixi様 …MPLS-L3VPNを利用し、スケールし続けるネットワークをマルチテナントで運用管理

株式会社mixi様では、迅速な事業展開を図る上でクラウドファーストの考え方を採用。パブリッククラウドを利用して新規サービスをスモールスタートし、成功して軌道に乗ったらオンプレミス環境に移行することも。しかし、この方法にはIPアドレスのバッティングが発生する可能性もありました。

このような課題を解決するために採用したのがMPLS-L3VPN。クラウド環境とのシームレスな接続を実現しつつ、マルチテナント環境を実現しました。Juniperのデータセンター向けファブリックスイッチであるQFX5100を採用し、下記のようなデータセンター環境を構築することで、課題解決につなげています。

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※出典:http://www.juniper.net/assets/jp/jp/local/pdf/case-studies/mixi.pdf

(2)EVPNの採用で、データセンター間のシームレスな連携を実現

次にEVPNのユースケースを紹介します。下図では、左側の「Data Center Site1」(VxLANを使用した新しいネットワーク)と、右側の「Data Center Site2」(VLANを使用した従来のネットワーク)を、EVPNをC-Planeとし、MPLSをD—Planeとして活用することでシームレスに接続していることを表しています。この時にも、データセンター内のVLANネットワークやVxLANネットワークに貢献しているのが、QFX5100です。

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(3)EVPN、VxLANによりIP ファブリック化を促進

下記の図では、L3ベースのデータセンター内ネットワークに、EVPNを用いてL2ネットワークのマルチテナントを実現した例です。DC内のネットワークをL3ベースにすることで、よりネットワークをスケールさせることが可能となります。L3ネットワークを構築するにあたり、BGPやOSPFなどルーティングプロトコルの信頼性が求められますが、その技術と信頼性を持ったL3SWとしてQFX5100の採用が鍵となります。

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まとめ

今回は、2016年のデータセンターを考える上で欠かせない3つのワードをご紹介しました。また、ここで紹介したQFX5100を中心にシリーズを整理したのが下図です。将来性を見越したデータセンターのネットワークを構築するためにも、本記事と合わせて下記の詳細情報も参照してみてはいかがでしょうか。

本記事の詳細、ジュニパーネットワークスの機器、日商エレクトロニクスのデータセンター事例など、さらに詳しく知りたい方はぜひ、こちらよりお問い合わせください。

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